Q1 正座はできますか?
A1
種類によりますが、人工膝関節の屈曲角度は最大で120~130度になっています。
120~130度というのは、一般的な日常生活を送るうえで必要な膝関節の角度です。
正座になると膝は150度ほど屈曲します。
つまり人工関節は構造上、正座に対応した設計にはなっていません。
無理に正座をすると、ゆるみや破損が生じる危険性もあります。
健常な方にとっても正座は、膝への負担が過重な好ましくない姿勢です。
ただし実際には写真のように、膝がかなり曲がる患者さんもおられます。
「よく曲がる」からといっても、正座はしない方が良いでしょう。
Q2 自動車を運転してもいいですか?
Q2 自転車に乗ってもいいですか?
A2
人工関節そのものに、問題はありません。
タクシーの運転手さんで、仕事に復帰された方もおられます。
いつから乗れるかなど復帰の時期につきましては、個人差があります。
また安全に運転できるかどうかは、ご自身でご判断ください。
Q3 スポーツはできますか?
A3
パークゴルフや水泳、ウォーキングなど、足への衝撃が軽いスポーツは行って構わないでしょう。
ハイキングやスキーなどは、もともとのご経験があれば恐らく大丈夫でしょう。
マラソンやエアロビクス、サッカーなど激しいスポーツは推奨しません。
いずれもスポーツの強度や頻度、膝の動きなど、ゆがみや破損が生じないか総合的に判断する必要があります。
開始前に必ず主治医にご相談ください。
Q4 MRI検査を受けても大丈夫ですか?
A4
人工関節の材質は鉄ではなく、コバルト、クロムを主体とした合金か、セラミックですのでMRIは可能です。
空港などでの検査場では、人工関節が入っていることをご申告ください。
当病院から人工関節が入っていることの証明書をお渡しすることもできます。
Q5 合併症が心配です。
A5
合併症につきましては、以下の報告があります。
手術を受ける前に、ご納得いくまで説明を受けるようにしてください。
深部静脈血栓=エコノミークラス症候群
感染=1~2%
人工膝関節のゆるみ、破損
膝の皿(膝蓋骨)の脱臼
二次的な骨折
手術創部周辺の知覚異常
人工材料による生体の異常反応
感染症につきましては、術中はほぼありませんが、術後1~2年で起こることがあります。
歯槽膿漏など身体の別の部位で細菌感染がある場合や、高熱を伴う疾病で血液中に細菌が検出されるケースで、血液を介して人工股関節周囲に細菌が付着してしまうためです。
感染症を予防するために、口腔内は、定期的な歯科検診で健康状態を保つことが大切です。
Q6 手術は何歳くらいまで可能ですか?
A6
身体的に問題がなければ80歳台まで、手術が可能と考えられています。
ただし最終的にご自身やご家族が手術可能かどうかにつきましては、心臓や肺などの健康状態を調べたうえで医師の判断を仰いでください。
その他にも、ご旅行や他の病気治療時など、体内に入れた人工膝関節を考慮する必要は、生涯を通じ多くあります。
前回も述べました通り、退院後も通院しやすく、受診時に何でも相談できる医師のもとで手術を受けることが重要です。
全5回にわたる「人工膝関節置換術」の紹介ブログは、今回で終了となります。
近日中にホームページに、まとめたものを掲載する予定です。
ぜびご参考になさってください。
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