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執筆者の写真院長 原 則行

脚抜け②診断と治療、現状での対策

「足が前に出せない」「踏ん張れない」など走行中に自分で自分の足がコントロールできなくなる「脚抜け」

長距離ランナーに発症することの多いスポーツ障害ですが、MRIやレントゲンなど画像検査で異常が見つからないため、原因不明とされ対処に苦慮する事例が少なくありません。


脚抜けの原因と診断


原因が特定しにくいとはいえ、必ず何らかの異常が身体に生じています

近年ではその原因として

  • 脳や神経からの指令が正常に伝わらないケース

  • 筋力の低下や関節の不具合から生じるケース

の大きく2つが考えられています。


スポーツにおける身体の動きや神経伝達を理解した整形外科医でも診断が難しいのが、この「脚抜け」の悩ましい一面でもあります。

原因①脳や神経からの指令が正常に伝わらないケース

下肢における不随意運動(=自分の意志に反する動作)は腰から分岐する神経との関りが深いため、腰の異状をMRIで確認することが重要かと思います。


※当クリニックでは2023年6月に開放型MRIを新規導入し、迅速な診断に役立てています。


原因②筋力の低下や関節の不具合から生じるケース

運動器に由来するケースでは、X線やMRIの画像所見である程度は原因が推測可能です。

また疲労骨折は初期においてX線に異状を認めないこともあるため、MRI検査が必須となるでしょう。

※詳細は疲労骨折の過去記事を参照ください。




脚抜けの治療と現時点での対策


治療は選手一人ひとりの原因や症状によって異なります


神経に原因がある場合、即効性は期待できないのですがビタミンB12やビタミンEの摂取で改善を進めます。

食事での摂取を心がけることも予防策としては有効かもしれません。


特定部位の神経圧迫が明らかな場合、手術療法も検討の余地はあるでしょう。


筋肉のアンバランスが認められれば弱い部位の強化を図ります。

またフォームの矯正やオーバートレーニングの改善を行います。


予防法として効果が期待できると言えるのは、「特定の部位に負荷が集中しない動きに努めること」です。

筋肉や関節の動きがスムーズで四肢の協調性に優れ、バランスよく身体が使えていれば、どこか一カ所に負荷が集中することは少ない=「脚抜け」の発症を予防できると思われます。


参考になれば幸いです。


次回からは、「脚抜け」に悩まされた選手たちの対応実例などを紹介して参ります。

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