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執筆者の写真院長 原 則行

足の健康と靴の関係④硬い靴は足が痛くなる?

前回は、軽い靴が足に悪い影響を与える可能性についてお伝えしました。

今回は、靴の硬さに注目したいと思います。


Q.硬い靴は足が痛くなりそう。
A.いいえ。足に合っていれば、痛くなりません。

靴が直接的な原因で足が痛くなるのは、足と靴が足の形にあっていないためです。

靴擦れは、靴の中で足が上下する摩擦運動によって生じます。

特に新品の革靴は革が足に馴染んでいないため摩擦が生じるため、靴擦れになりやすいのです。

靴の硬さが、靴擦れの直接的な原因ではありません。


このように足の痛みの原因は、靴が足をしっかり補ていできていない点に起因します。

柔らかい靴でも、硬い靴でも、ご自身の足に合っていなければ痛みにつながる可能性は十分にあります。


Q.柔らかい靴の方が歩きやすそう。
A.いいえ。機能的に硬さが必要な部分があります。

履きやすいという理由からなのか、柔らかい靴が多く出回っています。

けれど、靴には足を保護や歩行を助けるという意味で硬さが必要な部分があるのです。

特に注意すべき部分は2点。ヒールカウンター(踵の部分)とシャンク(靴底の中央)です。


●ヒールカウンターは踵骨の傾きを支える強度が必要

右の図は、後ろから見た足首の骨の成り立ちです。通常は、この状態を保つよう筋肉が骨を支えていますが、体重をかけると踵骨が下腿に対して外側に少し倒れる構造になっています。


筋力の低下や疲労が著しくなると踵骨の傾斜がより強くなり、時に偏平足や開張足につながるケースもあります。

靴の踵=ヒールカウンターは、この踵骨の傾斜が強くならないよう支えます


ヒールカウンターへかかる負荷は、体重とほぼ同じ。ですから靴の踵の部分には、全体重を支えるだけの強度が必要なのです。


靴がきちんと踵を包んで安定させ、足の横ブレを防ぐ役割を果たせば、足がより前に運びやすくなり、ケガの予防にもなります。


ですから、スポーツ選手はもちろん、ご高齢者や子どもの靴こそ、とにかくヒールカウンターが硬くしっかりしたものを選んでいただきたいと思います。



●シャンクは靴の捻じれに耐え足底腱膜の伸びを抑える強度が必要

シャンクとは、靴のアーチを支える役割を持つ靴底に入っている芯材のこと。

体重がかかっても靴が歪まないようにする役割を持ち、金属や革、プラスチックなど多様な素材が使用されています。


重心の起点となる土踏まずの部分にあるため、「ふまず芯」とも呼ばれることもあるそうです。


左図の通り、この土踏まずの部分には足底腱膜があります

この足底腱膜は歩行中に多少は伸縮しますが、関節ではありませんから、本来は深い角度で屈曲しません


けれどシャンクの強度が不足していたり、シャンクのない靴で歩いたり走ったりすると、足底腱膜は引き伸ばされ、アーチがつぶれることがあります。


靴底の曲がる位置(トゥブレイクポイント)は、中足趾節間関節(足指の付け根の関節部分)が望ましいです。

靴底の中央で曲がる靴は、足底腱膜への負担が大きく、よほど足を鍛えている人でないと、このストレスには耐えられません。


以上2つの靴の構造からもわかる通り、柔らかい靴は安定感が悪く、足の裏が疲れやすかったり、少しの力で曲がったり、捻じれたりしてしまいます。

足を変形させ身体の機能を乱し、様々な不調の原因になることもあるので、ご注意ください。


最後にウォーキングの過去記事で紹介した、靴選びのポイントの資料を添えました。 ぜひ靴選びの参考にしてください。


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