「骨と筋肉Q&A」13回目は、糖質とトレーニングの関係についてとりあげます。
Q.「筋肉をつけるために糖質制限は必要ですか?」
A. 当事者の食生活にもよりますが、過度な糖質制限は トレーニング効果を下げる可能性があります。
糖質はエネルギーの源
日本食のメインであるご飯などに含まれる糖質は、太りやすい栄養素として悪者扱いされがちです。
確かに糖質は過剰に摂ると、エネルギーとして使われなかった分が脂肪として身体に蓄積されてしまいます。
日ごろスイーツやスナック菓子など間食が欠かせない方や、ご飯の量が多い方、麺類だけで食事を済ませるケースが多い方は、糖質を控えることが必要かもしれません。
とはいえ、糖質は生命活動に必要なエネルギー源です。
運動時には、筋肉が瞬発的に大きなエネルギーを出して動けるようにする、筋グリコーゲンの元となります。
トレーニングにも欠かすことのできない重要な栄養素なのです。
頭を使った時に甘いものが食べたくなるのも、脳が糖質を欲しているサインの一つ。
脳の活動エネルギーとなるのは、糖質が分解されてできるブドウ糖のみだからです。
過度な糖質制限はNG
血液中の糖分濃度=血糖値が低い状態、つまり空腹の状態で運動すると、身体が筋肉を分解してエネルギーに変えてしまう可能性があります。
筋肉をつけるためにトレーニングをしても、筋肉を減らしてしまう結果になりかねません。
筋肉が減ることで、一時的に体重が落ちるケースもあります。
けれど筋肉が減った分だけエネルギー消費量が減るため、食べる量が同じでも脂肪がつきやすくなり、痩せにくい体質になってしまいます。
もちろん筋力も低下してしまいます。
運動に必要な分の糖質を、適切なタイミングで摂ることが望ましいのです。
運動前は(諸説ありますが)2時間前くらいご飯や麺類などの食事を済ませるのが良いとされています。
仕事や学校などで2時間前に食事をとれない場合は、トレーニングの数10分前にエネルギー補給系の栄養補助食(ゼリーやドリンク類)を利用して、糖質を摂取しておくと良いでしょう。
そして運動後なるべく早く糖質を摂取することで、筋グリコーゲンの回復が早まるといわれています。
スポーツ栄養の国際的なガイドラインによると、その量は1.0~1.2g/kg 体重/時間であると示されています。
体重60㎏の方ですと、運動終了後40~50分内におにぎり1個、エネルギーゼリー1個程度に相当します。
疲労回復の効果も期待できます。
例え減量中であったとしても、上記は心がけるようにしてください。
復唱になりますが、糖質が不足した状態で運動すると一時的に体重が落ちてもリバウンドしやすく、結果的に太りやすく痩せにくい体質になる可能性があるからです。
まとめますと、トレーニング効果を十分に得るには糖質摂取のタイミングが重要です。
過度な制限、過剰な摂取をしないことが大切かと思います。
さて「骨と筋力Q&A」シリーズですが、今回をもっていったん終了といたします。
次回からは、運動不足に陥りがちなこの時世の健康の維持増進について、ご参考になる話題をご紹介して参ります。 引き続きお楽しみいただけると、ありがたいです。