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執筆者の写真院長 原 則行

骨と筋肉Q&A⑦「関節」が鳴る音


「骨と筋肉Q&A」7回目は、「関節」にまつわる風説についてお話します。


Q.関節がポキッと鳴る音は、  骨がぶつかる音ですか?
A.いいえ、  骨がぶつかる音ではありません。

関節がポキッと鳴る音は、関節液に生じた気体が弾ける音


右図(膝関節の例)ように関節は「関節包」という膜で包まれ、その内側=「関節腔」を「関節液」が満たしています。


「関節液」はヒアルロン酸などを含んだ粘性のある体液で、骨や軟骨を守り、関節がスムーズに動く役目を果たします


ポキッという音は、クラッキングともいい、この「関節液」に生じた気体の弾ける音だとされています。


【クラッキングのメカニズム】

  1. 関節を曲げ伸ばしすることで、関節腔の容積が増す。

  2. 内圧の変化により関節液が気化し、気泡が発生。

  3. 気泡が弾ける際、ポキッという音が鳴る。


上記の説は1947年にイギリスの医師らがX線写真などを用いた実験で打ち立てた仮説です(当時の技術では証明には至らず、推測の域を脱しなかったようです)。


その仮説の検証を試みたのが、カナダ・アルバータ大学でリハビリ医学を教えるグレッグ・カウチャック博士の研究グループです。

その結果をMRIの映像記録とともに、2015年4月オンライン・ジャーナル「PLOS ONE」上で発表。※1

左記はその公開映像の一つ(クラッキングの直前と直後の画像)※2です。


Time1 関節が引き離されたことにより気泡が発生

Time2 クラッキングの直後に気泡が消滅

という事象を示す資料は、1947年の説と一致しています。

※1 出典:https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0119470

※2 Time series plots for joint separation distance and signal intensity over the course of a representative MCP joint cracking (plots).


Q.では関節をポキッと鳴らしても、別に問題ないですね。
A.いいえ、悪い影響もありえます。

意図的に関節を鳴らすのはNG


関節がポキッと鳴る瞬間=気泡が弾ける瞬間は、関節内に大きなストレスがかかります。

そのストレスが、軟骨や骨を傷つける可能性があります

一度に受ける傷は小さいものであっても、繰り返されることで深刻な状態になりかねません。


長期的には、関節変形症を引き起こす可能性も考えられます。


また首や肩を勢いよく鳴らした拍子に、すぐ近くに通る神経にダメージを与えてしまうケースもありえます


ですので関節を鳴らす癖は、できるだけやめる方向で努力するのが安心かと思います。



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