2022年も半分が終わろうという6月最後の週末。東京都心の千代田区で2日連続の猛暑日(最高気温35度以上)を記録するなど、観測史上初となる厳しい暑さとなりました。
北海道でも6月25日は、帯広で32.9℃、札幌で30.6℃など45地点で30℃を超える真夏日となり、翌26日も道東方面を中心に道内36地点で真夏日に。
このようにまだ身体が暑さに慣れていない状態で気温が急に上昇すると、熱中症のリスクが高くなります。
COVID-19感染を防ぎながらスポーツ活動に取り組むポイントを探るシリーズ4回目は、夏の暑さ対策を取り上げます。
まずはスポーツをする・しないに関係なくす、暑さに慣れるまでは慎重に。
暑さや直射日光を避ける服装や環境を整え、のどが渇く前から水分補給、前回お話した通り不特定多数が出入りする部屋ではエアコンを使用時もこまめに換気をすることが大切です。
その他の対策は、右の熱中症×コロナ感染防止リーフレットを参考になさってみてください。
運動前に手や腕を冷やす 「手掌前腕冷却」で パフォーマンスをキープ
暑い中で運動すると、体温が過度に上昇しパフォーマンスが低下、熱中症のリスクも高まります。
ただし運動している最中に、身体を動かすことによって生まれる熱を抑えて体温を下げることはとても難しいことです。
そのためアスリートは試合や練習の前から、暑さ対策を行っています。その一つ「手掌前腕冷却」を紹介します。
手掌前腕冷却は手のひらと前腕を冷たい水に浸け、深部体温を下げる方法です。
手のひらには、動脈と静脈が直接連絡している特殊な血管 (動静脈吻合) があるため、手のひらと前腕を冷やすことで冷たい血液が深部に戻り(還流)、身体全体を効率よく冷やすことができます。
やり方は下記の通り。
クーラーボックスやバケツなどに無理なく手をつけていられる程度の冷水(10~15℃)を入れ、運動開始前に10分ほど、手から肘までを水に浸します。
片手よりも両手の方が冷却効果は高くなるため、両手の冷却が望ましいです。
手掌前腕冷却は、スタンフォード大学のデニスAグラン教授らによる研究に裏付けられています。
●トレッドミル運動中の手のひら冷却は、コア温度の上昇を減衰(図の左)
●プルアップトレーニングを受けた被験者では、レストのみの2週間のトレーニングで4±11%であったのに対し、レスト中の手のひら冷却で6週間のプルアップトレーニングで作業量が144±83%改善(図の右)
手のひらを循環する血液から熱を効果的に除去することによって、
暑い環境での有酸素運動中の倦怠感の開始を遅らせることができる
暑い環境での有酸素運動からの回復を早めることができる
運動パフォーマンスの向上に有効である ということを示しています。
手掌前腕冷却は、酷暑の日の外出前に行うことで、熱中症対策としての効果も期待できそうです。アスリートの方はもちろん、一般の方もぜひ取り入れてみてはいかがでしょう。