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執筆者の写真院長 原 則行

こむら返りの科学②予防【運動編】

有痛性筋攣縮=こむら返りは、運動中や運動直後、運動を行った日の睡眠中に発生することが多くあります。

要因としては前回ご紹介した筋紡錘と運動ニューロンの連携の不具合とする他、筋疲労や脱水、電解質異常などが考えられています。

しかしながら、科学的な裏付けは不十分で一定の見解は得られていません


予防法についても、ストレッチングや水、電解質の摂取が知られてはいます。

こちらも現在までのところ実験的な検証を行った研究が少ないため、真偽のほどが明らかにはなっていません。

また実際、これらの対策によって運動に伴うこむら返りの発生が、必ずしも予防できているわけではないのです。


よって今回のお題「こむら返りの予防」については、ごく少数の知見から得た可能性の範囲内にとどまることを、先にご理解ください。

もし効果を感じることができれば、幸いです。


予防策① 筋繊維の緊張を解く

アイソメトリック(=等尺性筋収縮)ストレッチング


アイソメトリクス(=等尺性筋収縮)とは、筋肉が長さを変えずに筋力を出していくという収縮様式です。

その筋肉の収縮様式を利用したのが、アイソメトリックストレッチング 筋肉を動かさずに、微小な力を加えるストレッチング法で、PNF(Proprioceptive Neuromuscular Facilitation、固有受容性神経筋促通法)ストレッチングともいわれます。


運動後に行うことで、筋繊維の緊張を開放する効果が期待できます。

下に「ふくらはぎ」「ハムストリングス」のストレッチング法を説いた動画を紹介します。


「ふくらはぎ」のアイソメトリックストレッチ


「ハムストリングス」のアイソメトリックストレッチ


予防策② 筋紡錘の活動を減らす

エキセントリック(=伸張性収縮)トレーニング

エキセントリック(=伸張性収縮)とは、筋肉が縮もうとしながら引き伸ばされる収縮様式をさします。

例えるなら重量のあるダンベルを降ろす時、筋肉が伸びながら筋力を発揮している状態です。


腓骨筋や長趾伸筋、前脛骨筋など、弱い傾向にある筋肉の筋力を、このエキセントリックトレーニングで強化すると良いでしょう。

具体的には、下り坂のランニング、階段を下るジョギングが適当かと思います。


下肢全体の筋機能を向上させることでアライメントが矯正され、乱れたアライメントで短縮し緊張した状態におかれていた筋紡錘の活動の減少を図ることで、こむら返りの発動を押さえる効果が期待できます。


ただしエキセントリックトレーニングは、筋肉への負担が大きく故障のリスクも高くなるため、自分に見合った強度で行うこと、時間や回数を無理のない範囲に収めるようにしましょう。


予防策③ 筋疲労を生じにくくする

比較的高い強度の有酸素運動


有酸素運動は、運動中に筋を収縮させるためのエネルギーATP(アデノシン三リン酸)を体内の糖や脂肪が酸素とともに作り出す運動です。

ウォーキングやジョギング、エアロビクス、サイクリング、水泳などを指します。

今回はAT(無酸素性作業閾値)を上げ、こむら返りの原因の一つとされる筋疲労を生じにくくさせることが目的なので、強度が重要になります。


ポイントは「キツイけれど、このペースでこの時間ならなんとか維持できる」というレベルでの有酸素運動に取り組むことです。


筋疲労が生じやすいため、週に数回程度に留めておくのが望ましいでしょう。



次回は、予防効果が期待できるその他の対策について紹介したいと思います。



こむら返り 有痛性筋攣縮 運動ニューロン 筋紡錘 アイソメトリック エキセントリック 有酸素運動 AT値 

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