寝違えは、ケガではなく軽度な疾病
目覚めた時、首の後ろや首から肩にかけて痛みを生じる「寝違え」。
痛くて首を動かせず、日常生活に支障をきたすケースもあるでしょう。
寝違えは、検査をしても画像でとらえられる変化が見られないことが特徴です。
首まわりの筋肉の血行不良(阻血)
首まわりの筋肉が痙攣(こむら返り)
頸椎関節の関節包の炎症
などが原因として考えられてはいますが、実は正確な原因はよくわかっていません。
いずれにしても、外傷(ケガ)ではなく軽度な疾病にあたります。
寝違えのきっかけになることが多いのは、
睡眠中に不自然な姿勢
上肢の使い過ぎ
前日に普段はしない運動をしたことなどが、挙げられます。
一般的には、数時間から数日で痛みが改善します。
少しずつ首を動かせるようになって、治るケースが多いです。
寝違えの痛みを抑えるには
寝違えを含む急性期の痛みを緩和するには、まず冷やすこと。
保冷剤や氷、冷湿布などで患部を冷やし、安静にしましょう。
もしお手持ちにネッククーラーがあれば、首まわりを冷やすのに便利です。
お気づきの方もいらっしゃることと思いますが、肉離れの応急処置でご紹介したRICEの安静(Rest)と冷却(Icing)に準ずる処置です。
無理に首を動かす、患部を揉む、ストレッチやマッサージをすることはタブーです。 症状が悪化する可能性があります。
痛みが落ち着くまでしばらくの間(急性期)は、安静を心がけましょう。
また市販薬の消炎鎮痛剤は、一時的に痛みを軽くするのに有効かと思われます。
けれど、上記はあくまで応急的な処置として捉え、なるべく早く整形外科を受診するのが望ましいでしょう。
他の疾病との区別が重要
寝違えであれば、X線などの検査や触診などの結果、異状が認められません。
ところが寝違えだと思っていた痛みの原因が、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症性神経根症、頚椎症性脊髄症、転移性脊椎腫瘍、脊髄腫瘍、強直性脊椎炎、関節リウマチなど、他の疾病の可能性は十分にあり得ます。
ですから整形外科を受診して、上記のような疾病ではないと確認しておくことが重要です。
診察や検査の結果、寝違えと診断された場合、内服薬や外服薬が処方されます。
筋痙攣が認められる方には、こむら返りの治療で使う漢方薬が有効なこともあります。
また筋肉や筋膜に局所麻酔薬を注射する治療を選択するケースもあります。
早い段階で診断・治療すれば、それだけ早く痛みが改善すると期待できます。
「寝違えくらいで病院にかかるのは大袈裟だ」などと思わず、整形外科を受診しましょう。