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執筆者の写真院長 原 則行

ウイズコロナ時代の健康づくり②

マスク着用での運動の問題と対策


2021年5月27日、大阪府の小学校で5年生の男子児童が体育の授業中に体調を崩し、死亡したという痛ましい報道がありました。

亡くなられたご本人およびご家族、ご関係者の方々には、謹んでお悔やみ申し上げます。


報道によると、亡くなられたのは2月で、搬送時には顎にマスクがかかっていたとのこと。

マスク着用で運動していた可能性が考えられます。

そこで今回、こうした痛ましい事故を防ぐために、ジュニア期に限らず全世代に向け、マスク着用で運動することについての問題と対策を述べたいと思います。


マスク着用での運動は、 低酸素環境で行う高地トレーニングと同じ状態

実は中国においても、前述の件と類似した中学生の死亡事故が起きています。

死亡された方の中には、医療用のN95マスクを着けていた方もいたそうです。


N95マスクは、ウイルス遮断効果は高いのですが、通気性はよくありません

私も仕事中は常にN95マスクを着用していますが、かなりの息苦しさを感じます


この息苦しい状態は、主に長距離ランナーなどのスポーツ選手が取り組む、高地トレーニングに近い状態です。


心肺機能を高めることを目的として、低酸素の環境であえて運動を行いますので、必然的に心臓や血管系への負荷が大きく、血圧も高くなります

ハイパフォーマンスですがハイリスクであるため、通常は専門家の指導や監視のもとで安全に配慮しながら実施されます。

もしマスクを着けた状態で運動している間に息苦しくなったら、すぐに運動を中断しマスクを外してください いったん心拍や血圧を落としてリスクを回避することが大事です。


運動をする際に、どうしてもマスク着用が必要な時には、決して無理をしないよう心掛けてください。


自覚のないまま脱水になることもあり、 熱中症のリスクが高まる

マスクを着けていると体内に熱がこもりやすく、喉の渇きを感じづらくなります

そのため自覚のないまま、脱水状態に陥り、熱中症のリスクが高まります


  • 気温が30度以上ある日は走らない。

  • 小まめに水分補給を行い、ときどき休憩をとる。

  • 人のいない場所ではマスクを外す。

などを徹底してください。

断定はできませんが、前述の不幸な事故は熱中症が疑われます。

意外かもしれませんが、熱中症の発症は暑くなり始めた5月・6月に多いです。

まだ身体が暑さに慣れず、発汗等の体温調節がスムーズにできないためです。

逆に真夏など、身体が暑さに順応できていれば熱中症のリスクは下がります

その点で、暑い中でも常に運動をしている人は熱中症になりにくいといえるでしょう。


危険なのは、

  • たまにしか運動をしない人、

  • 日ごろ習慣のない人が運動を始めた時、

  • ブランクのあった人が運動を再開した時、です。

今週末のように、北海道でも前日までは涼しかったのに突然、真夏のような気温になることがあります。どうぞ十分にお気を付けください。


もし具合が悪そうな人がいたら、迅速に援助を

熱中症が疑われる人がいたら、まず意識障害の有無を確認してください。


【意識障害がある時】

  • 反応が鈍い

  • 言動がおかしい

  • 意識がない 

という時は、すぐに救急車を要請。当該の方を涼しい場所へ移動します。

屋外であればタオルなどで仰いだり、ハンカチを濡らして首や脇の下を冷やしたりしてください。

室内であればクーラーの冷風をあてるなどして、身体を冷却してください。


【意識障害がない時】

涼しい場所に移して、水分や塩分を補給します。

できれば経口補水液(大塚製薬のOS-1など)が好ましいです(真水ですと血中のナトリウムが薄まってしまいます)。


それでも症状の改善がなければ、病院を受診してください。


例え症状が軽くても、熱中症になった本人が自分で対処できない子どもやお年寄りなどの場合、近くにいる方=バイスタンダーの対応が非常に大切になります。


多くの方にご理解いただき、応急処置などをサポートいただければと思います。


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