2023年11月に開催されたさっぽろジュニアアスリート発掘育成事業の公開研修会「ジュニア選手のケガ予防」の内容をお伝えするシリーズも、今回が最終回となりました。
テーマは「すり傷の処置」です。
すり傷は皮膚表面が摩擦によって損傷した外傷です。
野球やサッカーにおけるスライディング、予期せぬ転倒や接触など、競技不問で負傷しやすいスポーツ外傷の一つといえます。
受傷直後の処置がとても大切で、不適切な処置によっては回復が遅れることもあります。
すり傷の治療の三原則は、右の通りです。
過去においては「消毒をする」「ガーゼを当てる」「傷を乾かす」という処置が一般的に行われてきましたが、これらはむしろ回復の妨げになる可能性が明らかになっています。
① 傷を消毒しない理由は右の通りです。
消毒をしない方が傷の治りは早いのです。
② 傷を水道水で洗い流す理由は右の通りです。
土や砂などの異物を水道水で洗い流せば、傷が化膿する可能性は低いです。
③ 傷を乾かさない(ガーゼを当てない)理由は右の通りです。
すり傷は適度に湿らせた環境で治す方が、傷跡も残りにくいです。
ただしすり傷といっても度合いは様ざまで、セルフケアのみでは不十分なケースもあります。
傷が深い、広い範囲に及んでいる
出血が止まらない
治りが悪い、膿うみが出てきた
という場合はできるだけ早めに整形外科を受診しましょう。
最後にスポーツ時のケガ全般で良く聞かれる質問「どういう時に病院を受診すればよいか」に対する私の見解を紹介し、シリーズの締めくくりとします。