ジュニアスポーツ選手が2週間以上続く腰痛を訴えた場合、考えられうるケガの一つに「腰の疲労骨折(腰椎分離症)」が挙げられます。
成長期にあるスポーツ選手に生じる腰椎の疲労骨折は、椎弓と呼ばれる背骨と背筋をつなぐ、細くて弱い部位に頻発します。
早期における疲労骨折はX線では異常を認めないケースがほとんどですので、病状や症状、MRIで診断します。
■無理を重ねると一生、腰痛に悩まされる可能性も
早期であれば、スポーツの休止とコルセット装着による保存療法で治療が可能です。
休止期間はMRIで判断しますが、3カ月以上は必要になるでしょう。
骨折がひび程度まで進んでいるケースでは、低侵襲での分離部修復手術(ネジによる固定)で治療を行います。
骨に完全に隙間ができてしまっている状態では、新しい骨を別の場所から採取し移植を行うなど、大がかりな手術が必要になります。
骨折がさらに進行すると、骨がずれて背骨自体がすべってしまいます(=腰椎分離すべり症)。すべり症を呈している場合には、スクリューと椎体間ケージを用いた腰椎後方椎体間固定術を行うことがあります。
このように腰の疲労骨折の治療は、進行段階によって変わります。
また早期に発見できればより短期間で治すことができますが、発見が遅れたり痛みを我慢して運動を続けたりすると大人になってからも腰痛に悩まされることになりかねません。
腰を反らすと痛い
腰を捻ると痛い
という自覚症状があれば、できるだけ早く整形外科を受診することが重要です。
■疲労骨折予防のかなめ
4回にわたりジュニア期のスポーツ選手に発症しやすい疲労骨折の話題を取りあげました。
最後に「日本陸上競技連盟 疲労骨折予防 10 か条」を紹介して疲労骨折のまとめとします。
次回は「肘のケガ」の話題を取りあげます。