今回は「鉄欠乏性貧血」の予防と改善のための食事について取り上げます。
朝昼晩の食事でしっかり鉄分補給
「鉄欠乏性貧血」の予防と改善の基本は、食事で鉄を補うことです。
通常でも体内の鉄は、汗や尿などによって毎日1mg程度失われます。
これまで説明した通り、アスリートは体内の鉄需要が増加する一方、汗や消化管からの鉄の排出量が増えますので、意識して鉄分補給を心がけることが必要になります。
鉄には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があり、
動物性食品のおよそ40%は吸収率の高い「ヘム鉄」が含まれています。
植物性食品のおよそ90%は吸収率の低い「非ヘム鉄」が含まれています。 非ヘム鉄はビタミンCやクエン酸と一緒にとることで吸収率がアップします。
また、
赤血球を作る良質なたんぱく質
鉄の吸収を助けるビタミンCなどの栄養素(果物・芋など)
ヘモグロビンの合成を助けるビタミンB群や葉酸(ゴマ・海苔など)
なども積極的に摂りましょう。
ポイントは、できるだけ多くの食品類から毎日三食こまめに継続して摂取することです。
鉄分を多く含む食材の例を下にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
エネルギー不足にならないように
アスリートは運動によるエネルギー消費量が多いため、食事量が少ないことも貧血の一因になり得ます。
ですから運動量に見合った摂取カロリーで、エネルギー不足を防ぎながら、鉄分を摂取できるような献立になるよう心掛けましょう。
また鉄剤注射は、医師によりそれを行わなければ鉄欠乏性貧血が改善しないと診断された場合に、競技者や保護者、および指導者が十分な説明を受けた上で実施される手段です。
肝機能障害などを引き起こす恐れがあるため、日本陸上競技連盟では2016年から警鐘を鳴らし、2019年には「原則禁止」の方針を打ち出しています。
今だけではなく将来を見据え、健康的にスポーツを続けられるような、正しい理解と対応を私からもお願いいたします。