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執筆者の写真院長 原 則行

冬道の転倒対策・後編「転倒したら」


年間で最も寒くなる二十四節気の「大寒」を2023年1月20日に迎え、その暦に合わせるかのように、日本の上空に強い寒気が流れ込んでいるとのこと。


今週末から週明けにかけ、全国各地に厳しい寒さや雪に対する注意喚起がなされています。

雪や寒さへの対策とともに、冬道の転倒事故にもご注意ください。


「冬道の転倒対策」の後編は、「転んでしまった場合の対応」について取り上げます。


打撲や捻挫が大半を占めるが、

60代以上の女性は骨折にも注意

左の図は、冬期歩行者転倒事故の実態を明らかにするために行われた実態調査(対象期間:2014年11月~2015年3月、エリア:札幌市内、回答数:1471票)※に基づく、「負傷の内容」を性別・年代別に示したものです。


「打撲」が全体の約6割、「捻挫」が約2割を占めています。


※第31回 寒地技術シンポジウム(2015年)札幌市における冬期歩行者転倒事故実態について 高野伸栄(北海道大学)、戸部啓太郎(国土交通省)、金田安弘(北海道開発技術センター)
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/http://tsurutsuru.jp/paper/2015_Takano_124.pdf

特徴的なのは、自己転倒で負傷した60歳以上の女性の4人に一人が「骨折」している点です。これは「骨粗鬆症」も一因かと思います。


もしも転んでしまったら「RICE」といわれる基本処置を行ってください。

  1. Rest安静:患部を動かさない。身体を休める。

  2. Ice冷却:保冷剤や氷を入れた袋で患部を冷やす。

  3. Compression圧迫:患部を圧迫・固定して悪化を防ぐ。

  4. Elevation挙上:患部を心臓より高く上げ、内出血などを防ぐ。

受傷後すぐ患部をよく冷やすと、より早い治癒が期待できます


「RICE」処置で、腫れも痛みも治まるようであれば、できるだけ患部を動かさない生活を心がけて治していってください。

なお患部を温める行為は厳禁です。

2~3日は湯船に浸かる入浴は避け、ぬるめのシャワー浴を短時間で済ませましょう。

腫れや痛みが続いたり、増したりする時は、医療機関で診察を受けましょう。

X線やMRIで検査したら、「骨折」や「靭帯損傷」だったというケースもあります。

また痛みを感じにくい靭帯(前十字靭帯など)もあるので、「痛くないから大丈夫」と放置してしまうと症状が悪化する可能性があります。

冷やしても腫れがひかない場合は、必ず整形外科を受診してください。



実は右図が示す通り、自己転倒後に病院へ行った人は、全体の約3割以下です。


その病院を受診した人の4人に一人が、重篤な状態で入院治療となっています。冬期の転倒事故の深刻さを示すデータだと思います。


また頭部を打ち付けた方、転んだ後で「めまい」「吐き気」「痙攣」などの症状があらわれた方は、早急に脳神経外科を受診してください。

意識障害があれば、迷わず周囲に助けを求めて、救急車を要請してください。


防寒はもちろん頭部を守るという意味においても、外出時には、

  • 帽子をかぶる

  • 手袋をする

  • 荷物はリュックに入れて背負い、両手を使えるようにしておく

ことも重要です。


ご高齢者やお子さんは万が一に備え、外出時に連絡先メモを持ち歩くことを習慣づけると安心かと思います。参考になれば幸いです。

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