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執筆者の写真院長 原 則行

増加傾向にある痛風・高尿酸血症①

尿酸値7.0mg/dLオーバーは黄色信号


文字通り「風ほどの軽い刺激でも凄まじい痛みを感じる」のが、痛風です。

これは血液中の尿酸値が高い状態が持続することで、関節内に尿酸塩結晶が沈着し炎症を起こすために生じます。

尿酸塩結晶は左写真の針のような形状をしています。

白血球がその尿酸塩結晶を異物として攻撃することで炎症が生じ、痛風発作が起きるのです。


尿酸が結晶化し始める尿酸値の濃度は7.0です。その基準値を超えないよう、生活習慣の改善が大切になってきます。


感染症予防のため長期に及ぶ自粛生活やリモートワークによって、運動不足からくる肥満や自宅でのアルコール摂取量の増加に伴い、痛風患者さんも増す傾向にあります。


ウィズコロナの新生活様式は、痛風の継続的リスクとなる可能性があるといえるでしょう。



痛風が発症しやすいのは夏

ビールや清涼飲料水も一因に


痛風は夏に多く発症し、冬は比較的少ないという季節型の変動傾向がみられます。

背景には、ビールや清涼飲料水の摂取量が増えるからだと考えられます。

ビールには、尿酸の原料となるプリン体が多く含まれます(外因性)

またビールに限らず、アルコールは尿酸の生産を促進する作用と排泄を低下させる作用を併せ持ち、血清尿酸値を上昇させます(内因性)

「プリン体カットのビールだから」「ワインや焼酎だから」といっても、アルコールを過剰に飲めば、痛風を発症する可能性のあることを理解しましょう。


清涼飲料水を飲む機会が増えるのも、暑い夏の特徴です。

実は清涼飲料水に多く含まれるフルクトースは、腸管で素早く吸収されるため血清尿酸値の上昇に関与します。


※果物にもフルクトースは含まれますが、緩やかに吸収されるため尿酸値の上昇には、さほど影響しません。


清涼飲料水を1日2杯以上飲むグループと1カ月に1杯未満のグループとの比較においては、痛風の相対危険度が1.85倍に増加したとの報告もあります。


さらに運動後に清涼飲料水を摂ると、より尿酸値が上がりやすいという報告もあります。


尿酸値が高い方は、ボトル裏面の表示を確認し、「果糖ぶどう糖液糖」「ブドウ糖果糖液糖」「高果糖液糖」の記載のあるドリンクは避けた方が良さそうです。 味気ないかもしれませんが、水を多く飲むのが無難といえるでしょう。


次回は尿酸値を下げるための対策についてお話をしたいと思います。

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