「動かない」生活が続くと「動けなくなる」懸念が
新生活様式における健康問題2回目は、フレイル(虚弱)をテーマにとりあげます。
フレイルとは主に加齢によって身体が弱った状態をいいます。
右図の通り介護が必要となる前の段階で、要介護になるリスクが高い反面、適切な取り組みによって健康な状態へと戻れる可能性があるステージをさします。
筋力・口腔機能の低下など身体的要素に加え、こもりがちになるといった社会的要素、意欲や認知機能の低下といった精神的要素が含まれます。
高齢者(65歳以上)の8.7%がフレイルであり、プレフレイルは 40.8%を占めると報告されています。
COVID-19感染拡大の影響で日常生活が不活発化したことで、フレイルリスクが高くなっているとの知見が多くあります。 感染拡大前にはフレイルに該当しなかった元気な高齢者(65~84歳)を対象とした調査研究を一例に挙げますと、運動時間が第 3 波後には40%減少。 中でも社会的な活動をしていない一人暮らしの高齢者は61.9%と大幅に減少し、フレイルに至る可能性が高いことを示唆しています。
フレイルは高齢者だけの問題ではない
フレイルは高齢者の話だから、自分の世代には関係ない、と侮ってはいけません。
在宅勤務やオンライン授業などで家から出なければ、運動量はぐんと落ちます。
その運動不足が体重増加につながらないように、食事を制限する人も実際、少なくないと思います。
運動不足と栄養不足の状態を続けると、筋肉量の低下=サルコペニアを招きます。
サルコペニアはフレイルの最大要因ですから、世代に関係なく注意が必要です。
またオーストラリアの研究チームによる調査では、40代の45%に「フレイル」の前段階である「プレフレイル」が見られるとの結果を報告しています。
一般的に筋肉量は20・30代でピークを迎えて以降少しずつ減少します。
若い頃の「貯筋」が多ければ、サルコペニアやフレイルを防げる可能性があります。
バランスの良い食事と口腔ケアを心がけ、運動に取り組み、社会活動に励んで、フレイル予防に努めましょう。