top of page
執筆者の写真院長 原 則行

足の健康と靴の関係⑧O脚と靴について

の良し悪しが深く関わる疾患として、今回はO脚を取りあげます。


Q.市販のインソールでO脚を矯正できますか?

A.残念ながらほぼ不可能です

O脚は下肢の形態的な異常(=変形)をさします。

直立時に両膝が外側(小指側)に弯曲した状態となり、左右の内くるぶし(足関節内果部)を揃えても、膝の内側(大腿骨内果部)が接しません。

正確には大腿骨と脛など下腿骨の角度を測ることで診断されます。


正面から見ると、左右の膝に隙間ができアルファベットのOの字に見えることから、O脚と呼ばれています。


見た目からO脚であると思われがちなケースに、脛骨が湾曲している脛骨内反があります。

また筋力の低下などにより骨盤や内転筋が緩むことで、膝と膝の間隔が開きO脚に見えることもあります。

これら見かけ上のO脚には、加齢的な要素の高いガニ股系のO脚と、若い人に多い筋バランスの問題からくる内股系のO脚があります。


いずれにしても、O脚やO脚傾向がある方の多くが、膝痛や腰痛、疲労感を訴える傾向が認められます。

その他、見た目の悩みを抱えている人も多いようです。


さて一般的にO脚の保存療法として、靴の外側を高くする方法が知られています

その方法を利用したO脚矯正と銘打った市販のインソールも販売されているようですが、O脚そのものを矯正することは、残念ながらほぼ不可能です。

市販のインソールや靴がご自身に合っていない場合、むしろ症状を悪化させる可能性もあります。

どうぞご注意ください。



Q.オーダーメイドのインソールでO脚は治りますか?

A.完治はしません。痛み緩和の手段としては有効です。


患者さんに合わせて作成された装具=オーダーメイドのインソールであっても、O脚そのものを治すことは不可能です。


装具=オーダーメイドのインソールができることは、偏りのあったアライメントを調整し身体の揺れを軽減し、それによって引き起こされる痛みや疲れを解消することです。


変形性膝関節症や坐骨神経痛、脛骨外側の腓骨筋の疲労に悩む患者さんにとって、インソールは非常に有効な痛み緩和の手段といえます。


その効果の期待できるインソールを手に入れるには、きちんとした診断が必要不可欠。

  • 年齢不相応のO脚(X脚)があるか

  • X線検査で異常があるか

  • 低身長など内分泌性疾患(各種くる病)を想起させるものがあるか

  • 家族性(遺伝性)があるか

などについて十分な問診、理学所見、X線検査を行ったうえで診断します。


ビタミンD欠乏性くる病に対してはビタミンDの摂取で予防します。

自然に改善する生理的O脚(X脚)であれば、治療は必要ありません

病的なO脚(X脚)と診断された場合、保存療法と手術療法のいずれかを選択します。

オーダーメイドのインソール=装具は保存療法にあたり、繰り返しますが病気そのものを治すことはできませんが、痛みの緩和においては有効です。


なお重度な変形は手術療法が必要となり、一般的に下肢の形態異常を矯正するための骨切り術が行われます。


原因が膝関節に特定された場合、人工膝関節置換術で、O脚の改善を図るケース(右図を参照)もあります。


もしご自身のインソールを作りたいのであれば、まず整形外科を受診しましょう。

医師が装具作製を指示すれば、健康保険でインソールを作ることができるからです。

また完成したインソールをしばらく履いた後にも診察を受け、必要に応じてインソールの修正を行うとより良いと思います。

最新記事

すべて表示

ご理解とお願い 免責事項

  • 院長ブログの記事は執筆者個人の考えに基づく内容です。

  • 記事中にある提案等は、自己責任にて実施いただきますようお願い申しあげます。

  • ブログ記事の情報を用いた行為における損失・トラブル等に対して、執筆者は何ら責任を負うものではありません。

  • ブログ記事は予告なしに内容変更や削除することがございます。

  • ブログ記事の内容に関してメール等を通じての個別の相談は受け付けておりません。

bottom of page