骨や筋肉の健康と「食」の関連性について紹介するシリーズ4回目は日本型食生活の優れた点などを紹介します。
ご飯をメインに多様なメニューを組み合わせた日本型食生活
日本型食生活とは、ご飯を主食として、魚や肉、牛乳・乳製品、野菜、海藻、豆類、果物など多様な副食メニューを組み合わせた食事のことをいいます。
いくつかあるメリットの中でも特筆すべきは、
1食で五大栄養素を補えやすく、理想的なバランスの良い食事となること
ご飯には塩分がないこと(他のメニューの塩分が方にならないよう要注意)
中食(=できあいの総菜)や冷凍食品、レトルト食品との組み合わせで実行できること
です。
米は炭水化物に加え、タンパク質、カルシウム、鉄、マグネシウムなどをも含む、栄養豊富な食品です。また前回の記事「朝食と身体能力」とも関わりますが、炭水化物が分解されてできるブドウ糖には脳の働きを活発にする働きがあるので、朝食にご飯を食べることで勉強や仕事の集中力やパフォーマンスを高める効果が期待できます。
また米は消化・吸収に時間がかかるため、満腹感が長持ちするという利点もあります。
下図の栄養バランスガイドなどを参考に、「主食」「主菜」「副菜」「乳製品・果物」をそろえると良いでしょう。
時間や手間をかけられない方は、主食のご飯やおにぎり、主菜のハンバーグや唐揚げ、副菜のサラダや煮物などのメニューを、コンビニやスーパーの惣菜、冷凍食品やレトルト食品にして、組み合わせてはいかがでしょう。
外食の場合、カレーやラーメン、丼ぶりなど単品メニューに、サラダやスープをプラスすることで日本型食生活が完成します。
塩分過多・過栄養・低栄養に要注意
ご飯には塩分がないため、おかずはどうしても濃い味を取り入れたくなります。
食塩の過剰摂取に気をつけましょう。
ご自身の調理で薄味にする場合には出汁や酢、香辛料や香味野菜などを使って味わいにメリハリをつけると良いそうです。
総菜や冷凍食品、レトルト食品は塩分表記にチェックして組み合わせると安心です。
また食べ過ぎ=過栄養、欠食や小食=低栄養にも注意が必要です。
過栄養になると肥満やメタボリックシンドロームにつながる可能性があります。
整形外科的疾患としては、過多な体重を長期間に渡り支えることで腰椎が変形したり圧迫骨折を起こしたりする「変形性腰椎症」、膝関節の軟骨がすり減る「変形性膝関節症」を発症する可能性があります。
低栄養になると骨量や筋肉量の低下が懸念されます。
低栄養の高齢者は、フレイル(加齢に伴う心身の脆弱化が進行し、健康を崩しやすくなった状態)やサルコペニア(筋肉量が減少して筋力低下や、身体機能低下をきたした状態)の方も少なくありません。筋肉量の減少により転倒しやすく、骨量が低いこともあり、骨折の危険性は増加します。
上記の補足情報に関しては、食と整形外科シリーズの①「肥満と関節疾患」、②「痩せと健康リスク」をご一読いただければ幸いです。
令和2年3月に報告された「米の消費動向に関する調査(農林水産省)」によれば、5年前との比較において、米の消費量は「変わらない」が最も多く全体の約6割(59%)。一方「減ってきている」との回答(28%)が「増えてきている」(14%)の2倍を占めます。
一時、米不足や値段高騰などがありましたが、現在その影響は少なくなってきている様子です。
ご飯を中心とした日本型食生活で、残り少なくなりつつある2024年を心身とも健やかに過ごしていただければと思います。
次回はエネルギー高回転型の身体づくりについてまとめ、シリーズを締めくくりたく存じます。