「骨と筋肉Q&A」8回目は、「筋肉」に関する風説を取りあげます。
Q.“年をとると筋肉痛になるのが 遅くなる”というのは本当?
A.いいえ。年齢は関係ないという 研究結果が発表されています。
筋肉は、筋繊維と呼ばれる繊維状の細胞の束から成っています。
筋繊維は非常に細く傷つき切れやすいのですが、切れた筋繊維はたんぱく質などによって補修されます。
実は筋線維そのものには痛みを感じる神経がありません。
ですから筋繊維の炎症が広がり、痛みを引き起こす神経伝達物質が筋膜まで届いた後、初めて筋肉痛として知覚されます。
運動後すぐに筋肉痛にならないのは、このタイムラグがあるからです。
筋肉痛になるまでの時間は、運動習慣の有無に関係
日常的に運動をしている人の筋肉には、毛細血管が張り巡らされ、血液循環によって必要な酸素や栄養素が筋繊維に取り組まれやすくなっています。
そのため、痛みのもととなる伝達物質を排出したり、筋繊維のダメージを回復したりする能力が高いといえます。
一方、運動習慣のない人の筋肉は、運動習慣のある人に比べて代謝機能が十分ではないため、すべてにおいて時間がかかり、筋肉痛の出現も遅れてしまうと考えられます。
どうしても、加齢とともに身体を動かす機会は減ってしまいがちです。
つまり筋肉痛になるまでの時間の長短は、年齢というより運動習慣の有無や運動強度の強弱によるものが大きいのです。
18-22歳の被験者と60-70歳代の被験者に対し、同等の負荷によるダンベル運動後の筋肉痛を比較した研究では、筋肉痛が発現するタイミングに年齢の違いによる差はないとの結論に至りました。
別の実験から運動の種類や強度、筋肉による違いが大きいことも明らかになっています。
《参照》
https://kaken.nii.ac.jp/ja/report/KAKENHI-PROJECT-14580049/145800492003kenkyu_seika_hokoku_gaiyo/
まとめますと、ご高齢者でも翌日に筋肉痛になることもあれば、若い人でも筋肉痛が遅れて出てくることもありえます。
「年だから、筋肉痛になるのが遅い」と嘆くことはありません。
早くても遅くても、良いも悪いもないということです。
#筋トレ #筋肉痛 #筋力トレーニング #筋肉 #年をとると筋肉痛になるのが遅い? #科学的根拠 #風説 #きたひろしま整形外科 #我汝会 #原則行 #整形外科