「骨と筋肉Q&A」11回目のテーマは、足指の筋力トレです。
Q.「足の指を鍛えると、転びにくくなるのですか?」
A. はい。転倒予防としての効果が実証されています。
身体の土台である足指や足裏は、全身のバランスをとったり、安定した状態で前へ進んだりするために重要な役割を果たしています。
2000年には、足指機能を定量的に測定する評価機器を開発したグループが、高齢者168名を対象として足指機能と身体運動能力(握力,膝伸展筋力,10m歩行時間,静止立位時の足圧中心動揺,動的バランス)との関連性を検証。
2001年に、転倒予防としての足指トレーニングの有用性を示す論文を学会誌に発表しています。※
※日本理学療法士学会2000年度研究助成論文「高齢者の転倒予防としての足指トレーニングの効果」
https://doi.org/10.15063/rigaku.KJ00001309671
転倒予防のトレーニングというと、腹筋やスクワット、足首まわしや膝裏伸ばしなどをイメージしがちですが、実は足指や足裏も鍛えるべき重要なポイントなのです。
まずご自身の足指をセルフチェックしてみましょう。
指がくっついていませんか?
関節は曲がりますか?
指は広がりますか?
指を広げると足裏がつりそうになりませんか?
外反母趾や内反小趾など、足が変形していませんか?
タコやウオノメはありませんか?
どれか一つでも当てはまれば、下記の方法で今すぐ足指をケアしてください。
指を一本ずつ、丁寧にゆっくり回す。
足指の間に、手の指を差し込んで、手の指を握ったり、足の指を握ったりする。
ご自身では改善しにくい外反母趾やウオノメなどは、整形外科や皮膚科などを受診して、きちんと治療しておくと安心です。
足の変形や痛みが原因で、足指が機能しにくい状態では、姿勢が悪くなったり、膝痛や腰痛にもつながってしまったりするケースがあります。
さらには、よろけたり、つまずいたりした時、足指をスムーズに働かしてグッと踏ん張ることができず、転倒してしまう可能性もあります。
転倒防ぐため、下記のような足指トレーニングにも努めたいものです。
足指を広げたり、閉じたりする、足指グーパー(右イラストの上と中)
床に敷いたタオルを指で引き寄せる、足指タオルギャザー(右イラストの下)
寝起きやお風呂上りがおススメです。
転倒による骨折は、要介護の度合いを著しく上げる要因の一つで、転倒予防は健康寿命を延ばすことにつながります。
日ごろは地味で目立たない足指ですが、これを機会にぜひ意識して、手をかけ鍛えていくと良いと思います。