年をまたいで数回にわたり、冬道における転倒に関する話題を取り上げました。
けれど、どんなに気を付けていても、時と場合によって転んでしまうことはあります。
不意の転倒時にも、骨が強く健康であれば大事に至らないケースも多くあります。
その“強い骨”の秘訣は、骨密度にあります。
骨密度とは、骨を構成要素であるカルシウムやミネラルの密度(=どのくらいつまっている)を示す値です。
骨密度が高いほど骨が強く、低いほど骨が弱いということになります。
骨密度が極端に少ない状態を「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」といいます。
骨粗鬆症に陥ると、冬道での転倒はもちろん、つまずいて手や肘をついた、くしゃみをした、などのわずかな衝撃で骨折してしまう危険性があります。
骨粗鬆症の原因
骨は、皮膚と同じように日々、代謝されています。
古い骨を溶かしてなくす「破骨細胞」と
新しい骨を生成する「骨芽細胞」
が一定のサイクルで働き、骨も生まれ変わっているのです。
破骨細胞と骨芽細胞がバランス良く活動していれば、骨密度は適正に保たれます。
しかし高齢期に入ると、破骨細胞の活動量が骨芽細胞よりも増すために、骨が弱く脆くなりがちです。
またこの骨代謝には、女性ホルモンであるエストロゲンが関与しています。
骨粗鬆症の患者さんに閉経後の女性が多いのは、このためです。
また若い世代であっても、運動力の多い女性アスリートや極端なダイエットにより女性ホルモンのバランスが乱れた女性は、骨粗鬆症に対する注意が必要です。
その他に、遺伝や骨折の経験、喫煙や飲酒の習慣、治療のための薬剤の影響なども、骨密度が低下する要因として挙げられます。
骨密度測定で現状を把握し、予防に努めることが重要
一般的に骨密度は30歳頃を頂点として、その後ゆるやかに減少します。
気になる方は、専門機関で一度ご自身の骨の状態を正しく把握しておくと安心です。
当院でも骨粗鬆症の診断及び治療を行なっております。
検査に使う骨密度測定装置は、最も重篤な骨折が発生する腰椎部、大腿骨部の骨密度を直接計測可能な装置です。
検査の所要時間は10分ほどで、痛みは全くありません。
ご安心して、受診なさってください。
厚生労働省が行った国民生活基礎調査によると、高齢者が要介護・要支援状態になった原因の第1位は、骨・関節など「運動器」と呼ばれる組織の障害、いわゆる骨折です。
骨粗鬆症を治療する最大の目的は、その骨折を防ぐこと。
健康寿命を長く保つためにも、ぜひ骨を強く健康にする生活をして参りましょう。
次回から、骨粗鬆症の予防について数回にわたり、解説したいと思います。
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